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グローバル ハイスクール・バスツアー<後編>

2013.01.29

シャムス-1への道 ~グローバル ハイスクール・バスツアー~ <後編>

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グローバルハイスクール賞ファイナリストの生徒たち
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マスダール社のロゴデザイン

直ちにスワジランドの高校生は、バスの乗客一人ひとりに帰国便の日時を確認し始めた。私が明日の夜と答えると、高校生の顔に失望の色が浮かんだ。彼は全員の状況を確認し、自分と同じ立場の「仲間」を見付けようと試みたのだ。しかし彼の目論見は外れた。今夜帰国する者はスワジランドグループ以外にはいなかった。それから彼は乗客全員に、このままでは国に帰れなくなるので、シャムス-1行きを諦めてくれないかと訴えた。

彼の呼びかけに応えて、ファイナリスト校のオピニオンリーダー、インドのカルケリ・サンギート・ビジャラヤ校のアルーン・ベラーリ校長が演説を始めた。「ほらシャムス-1があそこに見える」彼は深い闇を適当に指さして咆えた。「我々は見たのだ。だから帰ろう!」この時、バスは本道を外れ、狭い脇道に入った。そして程なく、バスのヘッドライトに照らし出された、おびただしい幟(のぼり)の中を擦り抜け、バスはすさまじい勢いで道を戻り始めた。

幟にはマスダール社のロゴデザインが記されていたように思えた。我々は前日、化石燃料を一切使わないで運営する未来都市マスダール・シティを見学していた。この時見たマスダール社のロゴデザインではなかったか・・・・・・。

我々は漆黒の闇に沈んだシャムス-1に辿り着いたのかも知れないし、辿り着かなかったのかも知れない。しかし、バスの中は沸き立っていた。このバスを支配する達成感、高揚感は何だ。シャムス-1の見学ができていないなどと野暮を言う愚か者は、無論いない。我々はシャムス-1に行ったのだ!

饒舌になった我々を乗せてバスは帰路をひた走った。アブダビの市内に入り渋滞が起きたときには全員がやきもきした。それを何とか乗り越えて、9時を少しまわってバスはホテルに着いた。これなら何とか飛行機に間に合うかも知れない。もはやスワジランド・グループと気持ちの上で一体化した我々はホッと胸をなで下ろした。

それにしても、スワジランドの高校生の危機を乗り越える能力の高さは一体どこで養われたのだろう。自分の陥った不運を騒ぎ立てるのではなく、また主催者の準備不足に不服を申し立てるでもなく、他のすべてのメンバーの位置測定を冷静に果たしたうえで目標達成の作戦を練る技能をどうやって身につけたのか。このプログラムに参加した本校生徒代表の和三もスワジランドの高校生の行動には心底驚嘆していた。

感心したことをもう1つ。高校生にすべてを任せた同校の女性教師だ。徹頭徹尾見守る姿勢を貫いた。口出しは一切しなかった。だからこそ高校生はすべてのことを自分の力で成し遂げた。

和三はこの日バスを降りるときに、来てよかったと私につぶやいた。

教頭 大島

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